GPIFが国内株式運用のベンチマークにスマートベータ指数採用
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公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は運用資金120兆円の12%(18兆円)を国内株式に割り当てています。
国内株式のインデックス運用のベンチマークは今までTOPIX(東証株価指数)のみだったのが、スマートベータ指数であるJPX日経400インデックス、MSCIジャパン、ラッセル野村プライムのインデックスの採用も決定したとのことです。
皆さんも既に記事にされています。
スマートベータ化されていくGPIF | 高配当ETFで戦略的インデックス投資日記
GPIFがスマートベータ指数やJ-REIT採用と話題になっていますが | 梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー
GPIFが国内株式インデックス運用のベンチマークにスマートベータ型の指数を新規に採用
GPIF:国内株運用に日経400、スマートベータ採用-J-REITも | ブルームバーグ
世界最大の年金基金、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は国内株式での資産運用で、新株価指数の採用や「スマートベータ型」アクティブ運用、J-REIT(不動産投資信託)投資などに踏み切った。
パッシブ運用ではJPX日経400のほか、「MSCI Japan」、「Russell Nomura Prime」を新たに採用。
また、新たに物価連動国債アクティブファンドを設定し、今後は海外インフラ投資も検討すると発表しています。
GPIFは昨年末、物価が上がると元本と利払いが増える物価連動国債を今月以降に購入すると発表。先月25日には物価連動債のアクティブファンドを設定した。2月末には海外インフラ投資の検討も発表。
スマートベータ指数採用や海外インフラ投資の検討より大事なこと
スマートベータ指数の採用や物価連動債の投資、海外インフラ投資も検討との今回のニュースを聞いて、1つ1つのことはGPIFのリスクリターン特性に大きな変化はないかなと思いつつ、何か気持ち悪さが残っていました。
数日経過してようやくその気持ち悪さがわかりました。
GPIFが一切、アセットアロケーション(運用資産全体の資産配分)の変更に触れていないためです。
GPIFの現在の基本配分(国内債券60%、国内株式12%、外国債券11%、外国株式12%)を変えずに、国内株式クラスの中のインデックス運用のベンチマークの話や、国内債券クラスの中の物価連動債投資、外国株式クラスの中の海外インフラ投資の話ばかりで、運用に一番重要なアセットアロケーション検討の話が出てきていません。
必要なリターンと許容されるリスクを勘案して、例えば、「外国債券を11%から9%に比率を引き下げてその分外国株式を12%から14%に増やすことを検討」と言った内容を有識者が先に議論すべきです。
その後に、多様化のために各資産クラスの中身を微調整し、その1つの検討結果が、物価連動国債への投資だったり、スマートベータ指数のインデックス運用も開始するということであれば違和感はなかったはずです。
今回の件で、個人投資家にとっても、どのファンドを選ぶかより先にアセットアロケーションの決定が重要であることを思い出しました。
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[2020.03.28追記]
外国債券比率が現在の15%から25%に引上げられるとのことです。
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