住宅ローン返済と投資信託による投資はどちらを優先すべきかとの質問をいただきました

「住宅ローン返済と投資のどちらを優先すべきか」についてブログ記事コメントにてご質問いただきました。
考慮すべきパラメータ(ローン金額、年収、資産額、リスク許容度等)が多く、万人の方に当てはまるような、こうすべきとの断定の回答はできません。
ただ、「どう思うか?」とのお問合せなので、以下に私の考えを書きます。
住宅ローンと投資について | 資産運用の前にやることチェックリスト (4項目) いただいたコメント
住宅ローンを抱えながらセゾン投信にて積み立ても行っております。
住宅ローンが低金利かつ住宅ローン減税中というのもあるのですが、繰上げ返済による将来のキャッシュ不足を不安視し繰上げ返済は行っておりません。投信であれば暴落リスクはあるものの、必要に応じて解約できることがよいと考えています。
もちろん、生活防衛資金は確保した上での投資です。
この判断、どう思いますか?繰上げ返済に関してはいろいろと悩んでいます。
2011年5月の記事 資産運用の前にやることチェックリスト (4項目)の項目「1.負債(借金、ローン等)があれば最優先で返済すること」にて、
各種借金やローンなどがあれば、資産運用うんぬんではなく、早期返済、繰上返済に全力を注ぐことです。
住宅ローンももちろん例外ではありません。
と書きました。
繰上返済は、リスク資産運用の期待リターンとは異なり、住宅ローンを返済した分、確実にローン支払額減少につながります。
基本的には繰上返済を優先すべきとの考えは今も変わりません。
リスク運用の期待リターンが、低金利の住宅ローン金利よりも高い場合も多く、
投信であれば暴落リスクはあるものの、必要に応じて解約できることがよいと考えています。
と書かれているように、住宅ローン返済をせずに資産運用をするお気持ちもよくわかります。
ただ、繰上返済と異なり、資産運用はあくまでリスク(値動き)があるため、資金が必要な時に投資信託が超絶な含み損の場合もあります。
リーマンショック時は円高株安で、株式クラスは50%マイナス、外国債券も-20%は平気でマイナスになりました。
「将来のキャッシュ不足」というのがどういう場合なのかは個人にとって異なりますが、大きな含み損の時に本当にちゅうちょなく「投信であれば暴落リスクはあるものの、必要に応じて解約できる」のか再考しておく必要があると思います。
また、
もちろん、生活防衛資金は確保した上での投資です。
繰上げ返済による将来のキャッシュ不足を不安
と書かれていることから、繰上げ返済による将来のキャッシュ不足を不安に思われるようだと、確保されている生活防衛資金の金額が不足しているかもしれません。
個人的には、「不確実なリスク資産運用のリターン」より「繰上返済による確実なリターン」を重視します。
ただし、現在は超低金利化政策や、住宅ローン減税により、住宅ローン金利より減税分が大きくなり、実質の住宅ローンがマイナス金利の場合があります。
その場合、いつでも繰上返済できるけどあえて行わずに住宅ローン減税を利用するという手はありだと思います。
ここは、住宅ローン額や、年収や資産、生活費、安定した職業かどうかなどいろいろな要素によって変わるため、場合分けが難しいところです。
安定した職業についていて、高収入で、資産も多いほど、住宅ローンを繰上返済せずに、資金の一部を投資信託などで資産運用してもよい場合が出て来ると思っています。
極端な話、住宅ローンが3000万円あっても無リスク資産が4000万円あれば、それ以外はリスク資産で運用してもありと思います。そこまで無リスク資産がなくても、月収が多い安定した職業であるほど、それまでは減税の恩恵をフル活用するのはありでしょう。
また、「リスク資産が例え大きく元本割れしていても、無機質に必要な金額分解約すればよいと考える方」も同様にありの場合があります。
私自身は、リスク資産が大きく元本割れしているときは解約をためらってしまう性格なので上記には当てはまりません。
個人によって諸条件が異なるため、様々な意見が出るところで、万人の方に当てはまるような気の利いた回答はできませんが、私としては、シンプルに基本的には「繰上返済を優先」させたいです。
ただし、上記はあくまで一ブロガーの考えです。
細かい金額や諸条件によりもし本格検討されたい場合は、ファイナンシャルプランナーの方などしかるべき方に相談されたほうがよいと思います。
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