FTSE RAFIエマージング インデックスの中身 国別構成比率や過去のリターンを確認
CATEGORY新興国株式

FTSE RAFIエマージング インデックスは、(一般的な時価総額比でなく)企業の財務データであるファンダメンタル指標(売上高、キャッシュフロー、株主資本、配当)を元に投資投資比率を算出するスマートベータ指数です。
9月8日から運用が始まる超低コストのiFreeインデックスシリーズの1つであるiFree 新興国株式インデックスのベンチマークでもあります。
FTSE RAFIエマージング インデックスの中身や国別構成比率、従来指数との違いやリターン比較について内容を確認します。
FTSE RAFIエマージング インデックスとは
FTSE RAFI Emerging Index | FTSE (英語PDF(リンク切れ))
FTSE RAFIエマージング インデックス 指数構成手法
FTSE RAFIエマージング インデックスは、FTSE社の広範囲な新興国株式指数であるFTSEエマージングオールキャップインデックス(FTSE Emerging All Cap Index)をユニバースとし、財務データである以下のファンダメンタル指標
- 配当 (total cash dividends)
- キャッシュフロー (free cashflow)
- 売上高 (total sales)
- 株主資本 ( book equity value)
DCダイワ新興国株式ファンダメンタル・インデックスファンド インデックス構成手法 にも同様の説明があります。
2016年7月末時点で新興国13ヵ国の計364銘柄で構成されており、ファンダメンタル・インデックスやスマートベータと呼ばれます。
2007年3月19日の基準値を5000として、2007年7月9日より算出されています。
配当利回りは年4.09%(2016年7月末時点)です。
FTSE RAFIエマージング インデックスをベンチマークとするインデックスファンド
現在、FTSE RAFIエマージング インデックスをベンチマークとするインデックスファンドは以下3ファンドです。
- DCダイワ新興国株式ファンダメンタル・インデックス (信託報酬0.70%): 401k専用ファンド
- ダイワ・インデックスセレクト 新興国株式 (信託報酬0.60%): 大和証券のNISA専用ファンド
- D-I’s 新興国株式インデックス (信託報酬0.60%): りそな銀行、埼玉りそな銀行、近畿大阪銀行のネットにて一般購入可能
一般的な時価総額比率の指数との違い
新興国株式ファンドのベンチマークとして一般的に使われるMSCIエマージング・マーケット・インデックスやFTSEエマージング・インデックスのような浮動株調整時価総額比率の指数は、非スマートベータ指数としてざっくり以下の特徴があります。
- 大企業のウェイトが高く、規模の小さい企業のウェイトは低く、概ね市場の値動きを表す。
- 日々の株価変動に対し自動的にウェイトも指数と同一の変化率なので、指数連動のための売買調整不要。
- 配当や売上高などの財務指標はウェイトに無関係。財務状況の悪い大企業のウェイトは高い。
FTSE RAFIエマージング インデックスの場合、時価総額比重ではないため、企業規模に無関係に「配当やキャッシュフロー等が良好な銘柄」を選ぶことで既存の指数よりも高いリターンをめざすことを狙っています。
ただし、各企業の業績の変化によって、配当やキャッシュフローは大きく変わります。
後述のように、財務データの変化により銘柄構成比率を売買により頻繁に調整することで実質コスト増大の懸念があります。
FTSE RAFIエマージング インデックス とFTSEエマージング・インデックスの違い
FTSE RAFI Emerging Index | FTSE (英語PDF(リンク切れ))
FTSE RAFIエマージング インデックスの国別構成比率、銘柄数
FTSE RAFIエマージング インデックスは、現在13ヵ国構成です。
同指数の国別構成比率は以下の通りです。(2016年7月末時点)
投資国13か国 | 比率(%) |
---|---|
ブラジル | 25.9% |
中国 | 22.5% |
台湾 | 12.0% |
ロシア | 9.3% |
南アフリカ | 8.5% |
インド | 7.4% |
メキシコ | 3.5% |
タイ | 2.6% |
マレーシア | 2.4% |
トルコ | 1.9% |
インドネシア | 1.7% |
ポーランド | 1.4% |
チリ | 0.9% |
以下がFTSE RAFIエマージング インデックスとFTSEエマージング・インデックスとの国別構成比率、銘柄数の比較です。

FTSEエマージング・インデックスの新興国22ヵ国972銘柄構成に対し、FTSE RAFIエマージング インデックスは13ヵ国364銘柄構成と、分散は大きく劣ります。(FTSE社は韓国を先進国扱いにしているため、両指数とも韓国は含まれていません。)
FTSE RAFIエマージング インデックスのリターン
以下がFTSE RAFIエマージング インデックス(配当込み)(赤線)とFTSEエマージング・インデックス(配当込み)(黒線)との過去5年のリターン比較です。

過去5年は、FTSE RAFIエマージング インデックス(配当込み)のリターン-17.3%と、FTSEエマージング・インデックス(配当込み)のリターン-8.8%に大きく劣っています。
それ以前の時期は逆にFTSE RAFIエマージング インデックスの方が高いリターンだった時期もあり、将来予測は難しいです。
実質コストやトラッキングエラーには注意が必要
FTSE RAFIエマージング インデックスは、時価総額加重平均型ではなく、財務データを元に組入配分ウェイトが決まるために、一見優良会社へ投資することで良いリターンが出そうですが、指数自体は銘柄組み換えによる売買コストも税金もゼロという仮定ですので、ファンドのベンチマークとなる時は、実際の指数連動のための売買は多くなりがちで実質コストが高くなる(その分リターンも下がる)ことが予想されます。
過去記事参考:
DCダイワ新興国株式ファンダメンタル・インデックス運用報告書
DCダイワ新興国株式ファンダメンタル・インデックスのリターン確認
個人的には、iFree 新興国株式インデックスの信託報酬0.34%の低さには魅力ですが、ベンチマークであるFTSE RAFIエマージング インデックスには魅力的に見えず、新興国株式クラスは、従来のMSCIエマージング・マーケット・インデックス(配当込み)をベンチマークとするFunds-i新興国株式インデックスのようなインデックスファンドで投資を継続します。
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