分散投資は「ただのセールストークでリスクヘッジにはならない」という記事の間違い
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MONEYZINEに、「分散投資」はただのセールストークでリスクヘッジにはならないというトンデモ記事がありました。
おかしなところを指摘します。
<最終更新日: 2022年8月27日 リンク切れなどを修正>
MONEYZINE記事の痛い内容 抜粋
「分散投資」はただのセールストーク、リスクヘッジにはならない | MONEYZINE ⇒ リンク切れ
4つの籠(国内株式・国内債券・海外株式・海外債券)に盛り分けていれば(分散投資すれば)、一度に資産を失うことはないというものだ。
この説明は、よく投資信託の販売や証券営業などで用いられる。つまり、顧客を説得するための“常套句(セールストーク)”というわけだ。
言葉巧みに顧客の資産を動かすことによって、手数料や信託報酬を得ようとしているのである。
株式アナリストという一見えらい肩書きの方が書かれているわりに、かなりレベルの低い記事です。
以下3点について指摘します。
1.「分散投資すれば一度に資産を失うことはないというものだ」という誤解
分散投資は、分散しない場合に比べ、リスク(危険という意味でなく上下のブレ)が低くなる効果があるだけで、
「一度に資産を失うことはない」という定義ではありません。
たとえば、株式100%配分だと6割下落したのが、株式50%債券50%保有だと3割下落で済んだという具合です。
これを持って、株式も債券も下落したから「分散投資の意味なし」と判断するのは間違いです。
ましてや、以前日経新聞のコラムにもトンデモ記事がありましたが「分散投資すれば元本が割れない」という意味ではありません。
2.金融機関が「手数料や信託報酬を得ようとしている」ことと分散投資は無関係
金融機関が顧客をカモにしているという主張自体には同意します。
ただし、手数料や信託報酬を得ようとしているのは、コストの高いぼったくり商品を売り付けたり、手数料目的に次々と乗り換えさせることであって、分散投資とは全く関係ありません。
3.資本主義の破綻と分散投資の意義は無関係
「分散投資して安全」ということは決してない。そもそも、資本主義経済という大前提が崩れれば、いとも簡単にこのロジックは破壊されてしまうのだ。お金という、人々の信頼によって成り立っている“紙切れ”が、正真正銘の“紙切れ”になることだってあるのだ。
長期的な資本主義経済の持続(成長)を信じてなければ国際分散投資はやってはいけません。
ただそのときは銀行預金も給料も"紙切れ"になるので分散投資以外の方法も(株式をショートしたとしても、インデックス投資、アクティブ投資に関係なく)すべて無駄です。
これをもって分散投資は意味なしというのはピントがずれています。
景気悪化時には、各資産クラスの相関係数が高くなる(同じような動きをする)ことが過去のデータでも明らかになっています。これからもこのような不況時は同様のことが起きるはずです。
投資家として、いかに世間のノイズに惑わされないで投資を続けるかが重要と思います。
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