2007年から始めたインデックス投資の記録です。投資信託やETFを使って低コストで日本、先進国、新興国株式への国際分散投資を行っています。2019年にアーリーリタイア(FIRE)しました。現在はeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)をメインに積立中です。

為替ヘッジ付き資産を年金基金はどの程度組み入れているかの調査レポート紹介

CATEGORY為替ヘッジ
資産配分の円グラフ

為替ヘッジにかかる為替ヘッジコスト 金利差だけでは決まらないコストの仕組みにて、

  • 為替ヘッジコストは通貨の金利差だけではなく、需給要因その他で変化する。

  • 為替ヘッジ付ファンドは、リスクも低いが、期待リターンも為替ヘッジコスト分低い、別の資産クラスのファンドと考えた方がよさそう。


とお伝えしました。

為替ヘッジ付きの資産クラスを年金基金等の機関投資家はアセットアロケーションに組入れているのか、組入れている場合の為替ヘッジ比率について調べました。



日本の企業年金基金の資産配分比率

 年金運用動向調査結果を発表 | J.P.モルガン・アセット・マネジメント プレスリリース (PDF)

J.P.モルガン・アセットが、日本の企業年金基金を対象に、2014年度から2015年度にかけての運用状況の変化および今後の方向性について聞き取り調査を行った結果が載っています。

具体的な資産配分としては、国内債券の削減は継続傾向ながらも、リスクの大半を占めてきた国内株式の削減には一服感がみられます。外国債券・オルタナティブ資産への配分は増加傾向にありますが、米国の利上げを控え、為替ヘッジコストの高まりという新たな課題も浮上しつつあります。


 
DB年金(確定給付年金)の資産配分の平均は以下の通りです。

NenkinAsset.jpg

灰色の「外国債券(ヘッジ)」が、青色の「外国債券」の1/3程度組入れられています。


文中にもあるように、「為替ヘッジコストの高まりという新たな課題も浮上」しつつも、国内外の株式、債券と別の資産というくくりで、「外国債券(ヘッジ)」を入れることで分散効果による資産全体のリターンとリスクの調整を取っていると考えられます。


また、数年前に見た私の勤務先のDB年金のレポートにも、アセットアロケーションが載っており、そこにも外国債券の1/3程度が為替ヘッジ付きにしていると記載がありました。
ただし、その下に注意書きとして、「為替ヘッジコストや為替レートによっては、この為替ヘッジ比率を変更することもあります。」とある程度柔軟にヘッジ比率を変更する旨記載がありました。


このように、

  • 為替ヘッジコストがかかることを承知で、為替ヘッジ付きの資産に投資するのもあり。

  • ただし、為替レートや為替ヘッジコストもにらみながら為替ヘッジをどれくらいかけるか変更することもありえる。


という理解です。

特に個人投資家と違って、年金基金等は、定期預金や個人向け国債のような無リスク資産のアセットの選択肢がなく、すべてをリスク資産に投入する中、国内債券以外に為替ヘッジ付きの資産にも投資する合理性があると考えています。

個人の場合は、資産の中に預貯金含む無リスク資産は当然あるので、無リスク資産を一定比率確保したうえで、リスク資産は「為替ヘッジなしの資産のみ」とする方法もあり得ます。(私はこの方法をとっています)


「為替ヘッジ付きのファンドは為替ヘッジコストがかかるから全く投資検討しない」のも「為替ヘッジ付きのファンドに投資すれば為替リスクから解放されるぜウェイウェイ」もどちらも極端であり、為替ヘッジコストや分散効果、無リスク資産により資産全体の為替リスク調整のいずれも理解した上で、為替ヘッジなし、ありのポートフォリオを考えるべきと思います。


<続記事にて為替ヘッジ有の指数は、為替ヘッジコストとして何を考慮しているか(金利差? それともLIBOR?)調査した結果を書く予定です。>

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 [2016.11.12追記]
 為替ヘッジ付きファンドのベンチマーク(指数)の算出は、為替ヘッジコストとしてLIBORを使用

 [2016.12.13追記]
 米ドル円、ユーロ円、豪ドル円の直近の為替ヘッジコストを確認
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