2007年から始めたインデックス投資の記録です。投資信託やETFを使って低コストで日本、先進国、新興国株式への国際分散投資を行っています。2019年にアーリーリタイア(FIRE)しました。現在はeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)をメインに積立中です。

為替ヘッジ付きファンドのベンチマーク(指数)の算出は、為替ヘッジコストとしてLIBORを使用

CATEGORY為替ヘッジ
為替のチャート

為替ヘッジにかかる為替ヘッジコスト 金利差だけでは決まらないコストの仕組みにて、

  • 為替ヘッジは為替予約取引を利用し、その資金調達時は、1ヵ月LIBORや3ヵ月LIBORが使われる。(LIBOR: ロンドン銀行間取引金利)

  • 為替ヘッジコストはLIBORを利用するため、通貨の金利差だけではなく、需給要因その他で変化する。

  • 為替ヘッジコストは、(信託報酬にも実質コストにも含まれておらず)ファンドの基準価額に織り込まれている。

ことをお伝えしました。

為替ヘッジ付きのインデックスファンドのベンチマークとして使われる為替ヘッジ有の指数も為替ヘッジコストを織り込んだものとなります。その指数の為替ヘッジコストは、LIBORを使っていることを確認しました。



為替ヘッジ指数は、1ヵ月LIBORや3ヵ月LIBORを使用して算出

代表的な為替ヘッジ付きの指数としては、MSCIコクサイ・インデックス(為替ヘッジあり)や、シティ世界国債インデックス(除く日本)(為替ヘッジあり)、JPモルガン・エマージング・マーケット・ボンド・インデックス・プラス(円ヘッジ)、S&P先進国REIT指数(除く日本)(円ヘッジあり)等があります。

それぞれについて調べた結果が以下です。


MSCI指数の為替ヘッジコストは1ヵ月LIBORを使用

 MSCI Hedged Indexes Methodology | MSCI (PDF)

Discount factor between the calculation date (t) and the last business day of the current month, used to calculate the value at t of the Forward position and based on the one month London InterBank Offered Rates(LIBOR) rate in the home currency of the index.





シティ債券インデックスの為替ヘッジコストは1ヵ月LIBORを使用

 シティ債券インデックス インデックス・カタログ 2016 年度版 | Citi (PDF)

月次の為替ヘッジ後のリターンは1ヵ月の為替予約によるローリング・ヘッジを用いて算出します。為替予約の額面金額は、推定した期末価値に等しいとします。




 ヘッジ付き外債のリターンの仕組み | PIMCO

ヘッジ付き外債で一般的に用いられるインデックスである、シティ・グループ世界国債インデックス(ヘッジ付き)やリーマン・ブラザーズグローバル総合インデックス(ヘッジ付き)のリターンも1ヶ月ごとの為替予約によるヘッジを前提としています。






JPモルガンの為替ヘッジコストは1ヵ月LIBORを使用

 Introducing the J.P. Morgan Emerging Markets Bond Index Global (EMBI Global) | JPモルガン (PDF)

One-month Libor, used as the cash rate for the discounting






S&Pインデックスの為替ヘッジコストは3ヵ月LIBORを使用している模様

 ダウ・ジョーンズ株価平均 指数メソドロジー | S&P (PDF)

ダウ・ジョーンズ工業株価平均 レバレッジ(2 倍)・インデックス(円ヘッジ)(DJIA2LJT)は、ダウ・ジョーンズ工業株価平均(トータル・リターン、円ヘッジ)(DJIHJT)の 2 倍のレバレッジがかかっています。借入金利として 3 ヶ月ドル LIBOR(US0003M)を利用しています。



S&P指数については明確に記載した資料が見つけられず、S&Pの各種指数すべてに当てはまるかわかりませんが、少なくともダウ・ジョーンズ工業株価平均の円ヘッジ指数は、3ヵ月LIBORを使用して算出されています。





MSCI指数、シティインデックス、JPモルガンインデックスは1ヵ月LIBOR。 S&P指数では3ヵ月LIBOR使用もあり

結果としては、指数によって1ヵ月LIBORや3ヵ月LIBORを使用して算出されており、理論的な両通貨の金利差ではなく、実際の為替オペレーションに近いLIBORの資金調達コストを為替ヘッジなしの指数から引く形で算出されています。

為替ヘッジにかかる為替ヘッジコスト 金利差だけでは決まらないコストの仕組みでお伝えした「1ヵ月LIBORと3ヵ月LIBORの推移」のグラフのように2種類のLIBORに金利差があるので、興味深いところです。


為替ヘッジ付き資産を年金基金はどの程度組み入れているかの調査レポート紹介でお伝えしたように、為替ヘッジコストや分散効果、無リスク資産による資産全体の為替リスク調整のいずれも理解したうえで、たわらノーロード 先進国株式<為替ヘッジあり>、たわらノーロード 先進国債券<為替ヘッジあり>のような為替ヘッジなしのファンドの活用を考えるべきと思います。


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 [2016.12.13追記]
 米ドル円、ユーロ円、豪ドル円の直近の為替ヘッジコストを確認
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