暴落時もあまり下がらず、以後右肩上がりに増えていく老後資産向け投信を教えてほしい
CATEGORYインデックス投資

先週、某雑誌の電話取材を受けました。
「今回のような暴落でも少ししか下落せず、翌日以降はすぐに値を戻し、以後堅調に右肩上がりに上昇するような老後資産向け投信を教えてください」という趣旨の内容でした。
「市場の暴落でもあまり下がらず、以後堅調に右肩上がりに増えていくファンドを教えてほしい」
- 今回の暴落で、多少の下落はあったけど翌日以降ちゃんと戻している
- チャートが崩れていなくて、堅調な右肩上がりを続けている
- 下がりにくいけど少しずつ騰がっている老後資産向け投信
を教えてほしいとのことでした。
私からは、以下を伝えました。
- まず、「今回の暴落」は特に暴落ではない。直前までNYダウは史上最高値を更新しており、そこからのただの調整。
- 質問にあるような都合のよい投信は残念ながらない。リスク(価格変動)を低くしたければ、期待リターンも低くなる。
- 今回の下げを暴落と思ってしまう場合、投資家が自分のリスク許容度を取りすぎている恐れがある。
その場合、資産全体に占めるリスク資産比率を下げる等の対応が必要。質問にあるような、下がる時は少しで以後右肩上がりなどという夢のような投信はなく、どの資産クラスが儲かるかも誰もわからない。
参考: 主要8資産の年間パフォーマンスの確認 去年最もリターンが高かった資産は?
だからこそ、リスク資産比率や、アセットアロケーションをリスク許容度の範囲で決める必要がある。 - あえて言うと、市場の株式下落時に、株式ファンドと逆相関の値動きをする日本債券インデックスファンドがある。リーマンショック前から(金利低下の影響で)ほぼ右肩上がりに基準価額は上がってきている。ただ、今はマイナス金利下であり、今後の金利上昇には弱い。また期待リターンは株式より低い。
結局、相場下落時にはちょっと下がるだけで、その後は上昇し続けるような都合の良いファンドなどはなく、インデックス投資の場合は自身のリスク許容度の範囲でアセットアロケーションを決め、ジタバタせずに投資するしかありません。
取材としては、私の回答に面白みがなかったようで、雑誌の編集長と相談するとのことでしたが、おそらく載らないかなと思っています。
取材の記者さんは、雑誌のテーマの趣旨に沿うように質問されているだけですが、「老後資産向け」というのも意味が分からず、投資家の年齢やライフプランの違いにより老後が何年後に来るかも変わるため、特に老後資産向けと言うファンドもありません。
いつも同じことを書いていますが、幅広く国際分散投資することで、リスクを抑え、リターンを取りこぼさないようにしていくのが基本と思います。
- 関連記事
-
-
株式60%債券40%のポートフォリオは現在も有効であるという記事の紹介 2022/07/24
-
不振のアクティブ投信 ベンチマークが社内未設定などずさんな管理状況が金融庁調査で判明 2022/07/12
-
日経記者さんに聞いたインサイダー防止のための投資制限が厳しい 2022/07/04
-
長期投資の場合、株式や債券などの本質的に成長する資産に投資したい 2022/06/30
-
国内の株式投信に占めるインデックスファンドの純資産比率が25%近くと1年で+5%上昇 2022/06/25
-
株式60%債券40%のリターンが悪化とのニュース | 個人投資家が心がけること 2022/06/21
-
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) 暴落でも何でもない設定来のグラフ 2022/06/20
-
個人マネーが海外株に殺到という記事 | 国際分散投資の観点ではごく当然 2022/06/18
-
円安の今は外貨に広く分散する投資開始には不適 ただ投資手法は経済的には正しい 2022/06/12
-
パッシブ投資は「度が過ぎている」、「とてつもない資本の誤算」という批判の紹介 2022/05/06
-
TAG: 老後資産向け投信