グローバル3倍3分法ファンドについて日興アセットさんに問い合わせてみました
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グローバル3倍3分法ファンドについては運用開始前に日興アセットマネジメントさんにお呼びいただき、組成案についてディスカッションしていたこともあり、概要は理解していました。
運用開始から約1年ほどで、グローバル3倍3分法ファンド(1年決算型)の純資産が約2787億円と好調な売行きにはびっくりです。
日興アセットマネジメントさんに不明な点を問い合わせ、回答いただいたので記事にします。
グローバル3倍3分法ファンドとは
グローバル3倍3分法ファンドは、世界の株式やREIT、債券に投資するバランスファンドです。
先物取引を活用し、純資産の3倍の投資を行っています。
ざっくりとした概要は以下をご覧ください。
増やすための分散を グローバル3倍3分法ファンド | 日興アセットマネジメント

上の図の左下にあるように、投資家からの資金の80%を使って、海外株式(=海外先進国株式)、新興国株式、J-REIT、海外REITの4つの資産クラスに各20%ずつインデックス型のマザーファンドに現物投資します。
残り20%は現金として保有し、そのわずか数%を先物の証拠金として利用し、日本株式20%、債券200%(日本国債、米国国債、ドイツ国債、イギリス国債、豪州国債に各40%)になるよう手当てしています。
結果、下記のように、株式、REIT、債券比率が60%:40%:200%と3倍のレバレッジのかかったバランスファンドとなります。

運用開始前にブロガーとしてディスカッションに参加
グローバル3倍3分法ファンドの運用開始前に、日興アセットマネジメントさんに数人のブロガーの一人としてお声かけいただき、このファンドの元の案に対して、投資対象や配分比率、信託報酬について好き勝手にコメントしていました。
実際のグローバル3倍3分法ファンドは、信託報酬も年0.44%(税抜)と低く、投資対象などもコメント内容が割とそのまま反映されていて驚きました。
日興アセットマネジメントさんへの質問と回答
グローバル3倍3分法ファンド配分比率の高い債券価格の上昇にも乗って、運用開始後のリターンも高く人気を集めています。
ただ、レバレッジをかけているため、当然リスク(値動き)は大きいことは理解できるのですが、高いリターンには必ず高いリスクを取る必要があるはずです。
そのため、上で紹介したファンド説明ページにあるような「有効フロンティアの上を実現」や「株式よりも低いリスクで、より高いリターン」という表現には違和感があります。
ただ、その取っているリスクが何かということがわからず、ファンドの理解のため、以下を日興アセットマネジメントさんに問い合わせ、回答いただいたので紹介します。(掲載許可済)
①: 先物のロールオーバーによる減価はあるのでしょうか?
回答: 当ファンドの先物は、日本株式部分で「TOPIX先物」を、債券部分で「日本の長期国債先物」「米国の長期国債先物」「ドイツの長期国債先物」「イギリスの長期国債先物」「豪州の長期国債先物」を利用しています。先物価格は、「現物価格」を基に「期日までの短期金利」などが織り込まれて形成されます。
一般的に、ロールオーバーする際に保有している限月と次の限月との先物価格は、受け渡し対象銘柄の違いや期日までの日数の違いからくる金利負担の差などから異なります。この点については減価する・しないと表現されるものではありません。むしろ、ロールオーバーによる負担は、売買インパクトおよび売買手数料などにより発生しうるものですが、流動性が非常に高い先物を利用しているため軽微と考えられます。
②: 先物利用によるコスト(金利または手数料)はかかるのでしょうか?(かかる場合はどれくらいのコストでしょうか?)
回答: 当ファンドで利用する先物取引は、いずれも先進国の資産を原資産としていること、取引所に上場されていること、機関投資家を中心に幅広い投資家が利用していることから非常に流動性が高いものです。
一般的にロールオーバー時の売買手数料率は、現在0.01%を大きく下回る国債先物もあるなど非常に小さくなっています。また、一般的に金利負担については、各国で資金調達したならば支払う短期金利と同程度に収束することが期待できます。①と②のご質問に共通してご回答申し上げたいこととして、当ファンドで先物を利用することは、ロールオーバー時の負担等によるデメリットよりも、メリットの方がはるかに大きい(例えば、日本株式部分では現金を確保でき、債券部分では株式やREITとの逆相関による分散効果が得られる、現物資産の代替として利用することでレバレッジを効かせられる、など)と考えております。
③: 一般的なレバレッジファンドは上下動を繰り返す相場では、次第に指数より減価するのが欠点かと思います。グローバル3倍3分法ファンドもこの性質はあると考えていますが正しいでしょうか?
回答: ご指摘の通り、単一資産に投資するレバレッジ・ファンドでは、当該資産の市場が上下に大きく変動を繰り返すことで指数より減価していく現象が想定されます。一方で、上下変動が小さく一方的に上昇する場合にはレバレッジ率を高く維持することで高い複利効果が得られます。
当ファンドは複数資産に投資するレバレッジ・バランス・ファンドであり、それぞれの相関が低いと考えられる資産を原則固定比率で保有しています。そのため、投資対象資産の市場が上下に動く局面でも分散効果が得られることでファンドの基準価額の上下変動が低減されるとともに、値上がりした資産を売却し、安くなったものを買付しながらレバレッジ率を3倍に維持することで、複利効果が得られる場合があると考えられます。よって、当ファンドは、長期保有に適したファンドであると考えています。
結局、明確にここが問題と言えません
結局、取っているリスクは、先物の利用によるコスト(上の①②)や、レバレッジファンドの上下動を繰り返す相場での減価すること(上の③)かもと思ったのですが、いただいた回答を読むとそうでもない様子で全くスキがないの一言です。
私の理解不足もありますが、理解しきれていない金融商品に投資するわけにはいかず、コンセプトは面白いですが私自身は投資予定はありません。
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[2019.11.17追記]
グローバル3倍3分法ファンド 債券部分の「元本部分」は為替変動の影響なし
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