2007年から始めたインデックス投資の記録です。投資信託やETFを使って低コストで日本、先進国、新興国株式への国際分散投資を行っています。2019年にアーリーリタイア(FIRE)しました。現在はeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)をメインに積立中です。

MLPは高配当かつ石油価格にも左右されにくいなど調子のいい宣伝文句に注意

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石油パイプライン

米国ETFのZMLP(ディレクション・ザックスMLP高配当)が繰上償還されると聞いて、MLP(マスター・リミテッド・パートナーシップ)について思い出したことを書いておきます。


MLP(マスター・リミテッド・パートナーシップ)とは



MLP(マスター・リミテッド・パートナーシップ、Master Limited Partnership)とは、米国の石油パイプライン事業などのエネルギー関連事業への管理・運営を行う米国の共同投資事業形態の1つです。
金融商品取引所(ニューヨーク証券取引所、ナスダック等)で取引されており、エネルギーインフラ分野への投資推進を目的として、1980年代に米国で誕生しました。

MLPは石油パイプラインやシェール・ガスなど天然資源の輸送料、保管料、設備使用料が90%以上を占めており、その収益の90%以上を分配金として出すことで法人税は免除されます。
その点では、MLPはREIT(不動産投資信託)と仕組みが似ており、MLPはエネルギーREITとも呼ばれています。

MLPについての詳細は以下をご覧ください。
 出典: 「シェール革命 第二章」に見るMLP投資 | ドイチェ・アセット・マネジメント



MLPは高配当かつ石油価格に左右されにくい??

以前、MLPに投資するETFやファンドが次々と登場した当初は、以下のような記載をよく見かけました。

  • 高配当(年8%超の配当)で投資先として魅力

  • 川上(探査、開発、採掘)・川中(精製、備蓄、輸送)・川下(卸売、小売)に大別されるエネルギー事業のうち、MLPは主に川中に投資するので、原油価格や景気に左右されにくい

  • 石油パイプラインなどの施設は5年など比較的長い契約が多いので、原油価格や景気に左右されにくい


しかしながら、実際のMLP指数の配当込みのリターンは以下の通りです。(赤色がアレリアンMLPインデックス(配当込み)、他の指数も全て配当込み)

MLP市場の動向について

 出典: MLP市場の動向について | SMTAM (リンク切れ)


実際は思いっきり原油や天然ガスの価格に左右されているし、今年の4月ごろからのコロナショックも株式やREITの各指数より下落が激しいことがわかります。
MLP指数の配当利回りは一時20%超となっていますが、その配当を含めたトータルリターンが左の図のリターン比較です。

「川中に投資するので、原油価格や景気に左右されにくい」、「高配当が魅力」などの売り手側の適当過ぎる記載は、「ドーナツは穴が空いているからゼロカロリー」、「ポテトチップスは薄いからゼロカロリー」的な文章と同じ大嘘です。

配当利回りが高いのは、それだけのリスクを抱えた投資先であることから、MLPに限らず「高配当、安全、石油価格に左右されにくい」のようなおいしすぎる話には注意が必要と思います。
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