外国債券に投資していない理由3つをまとめてみました
CATEGORY先進国債券

以前は外国債券(先進国債券)に投資していましたが、現在は全く投資していません。
先日、ツイッターのスペースでも少しお話しした、投資していない理由を以下に書いてみます。
外国債券に投資していない理由
1.外国債券の値動きは債券価格の変動より為替による変動の方が大きい
FTSE世界国債インデックス(除く日本)をベンチマークとする外国債券インデックスファンドを保有していた時、基準価額の値動き(リスク)は、結局円安の時には上がり、円高の時は下がりと為替による変動の影響が大きいことは体感していました。
実際に以下レポートでも、外国債券におけるリスクの寄与度は以下のように、為替要因が79.2%と約8割を占めています。
そのくせ、リターンに占める為替要因は26.4%と割りに合っていません。

引用: 年金ポートフォリオにおける為替リスク管理の考え方 | 三菱UFJ信託銀行 (PDF)
リーマンショック時も、本来は株式が半値ほどに下落した際、緩衝材としての債券クラスのはずが、急激な円高により結局は2割ほど下落した記憶があります。
2.外国債券の金利の高さは理論上は為替で調整されてしまう(高金利通貨は円高方向へ)
日本の低金利政策により国債の金利があまりにも低い中、日本よりも高い金利が付いている外国債券に投資しても、結局は為替が高金利通貨は円高方向に振れる(=金利平価説)ことは体感していました。
そのため結局は、外国債券は分散投資としての意味はあっても、外国債券は国内債券と理論上は同じ期待リターンになるという残念な仮説があります。(ネットで検索すると、リスクを取る分、外国債券の方が国内債券より期待リターンが高いという説もあります。)
3.為替ヘッジ付きにしても為替ヘッジコストが金利差以上にかかることもあり、しかも為替ヘッジが一番効いて欲しい急激な円高時に為替ヘッジコストが急騰することもある
上記のように為替変動の影響を受けるのが嫌なので、為替ヘッジ付きの外国債券ファンドを検討したことがあります。
以前は信託報酬の低い為替ヘッジ付きの先進国債券ファンド自体がなかったのですが、今では、Smart-i 先進国債券インデックス(為替ヘッジあり)(信託報酬0.17%(税抜))のような低コストの為替ヘッジ付きの先進国債券ファンドがあります。
ただ、為替ヘッジにかかる為替ヘッジコスト 金利差だけでは決まらないコストの仕組みにてお伝えしたように、為替ヘッジには理論上の二国間の通貨の金利差以外に、米ドルの調達に対する上乗せ金利(ベーシス)が発生します。
為替ヘッジコストは信託報酬にも実質コストにも含まれておらず、この上乗せ金利が最大どれだけかかるかについても事前に分かっていればまだよいのですが、その時にならないとわかりません。
高級料亭で値段が「時価」と書かれている料理を食べるようなものです。
以下に、為替ヘッジコストについてきちんとまとめられている良記事があります。
為替ヘッジコスト長期推移(円/ドル・円/ユーロ)【データ更新用】 | ファイナンシャルスター
ブログ記事から引用させていただいた、日米金利差とドル円ヘッジコストの推移は以下の通りです。

オレンジ色の日米の金利差、赤い線が実際のドル円の為替ヘッジコストです。
特に、2008年12月に5.5%までコストが跳ね上がっていることがわかります。
このように、急激な円高の進行で一番為替ヘッジが効いて欲しいところで、超絶な高コストがかかる為替ヘッジは利用する気がおきません。
関連記事
[2021.10.12追記]
過去30年間の外国債券指数(為替ヘッジ無し)と外国債券指数(為替ヘッジ有り)のパフォーマンス比較データが載っていました。
外国債券への投資 為替ヘッジ有り・無し、どちらが得か?
外国債券への投資は分散効果はありますが、外国株式で為替リスクを取っている方は不要の可能性があります
外国債券クラスへの投資は値動きが株式など他の資産クラスと異なるので、分散投資の効果はあります。
ただ、為替リスクを取る外国株式にメインで投資している場合は、外国債券は為替リスクをさらに取るには割に合わないと考える外国債券不要説を支持する方が多いです。
私も、リスク資産はeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)をメインにしており、思いっきり為替リスクを取っています。
そのため、資産全体の為替リスクは無リスク資産を持つことで調整しています。
外国債券にも投資した方が良いかどうかは、、個々のリスク許容度や考え方で変わってくると思います。
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