トルコリラが1日に15%急落 高金利通貨の保有には注意が必要
CATEGORY為替ヘッジ

トルコリラ/円が9円ほどに下落し連日のように最安値を更新しています。
インフレ率の高い国の高金利通貨は通貨価値が理論上は下落することに注意が必要です。
トルコリラが1日で15%急落
トルコリラ一時15%急落、大統領が緩和策擁護 11日連続で最安値 | ロイター
トルコリラは23日、対ドルで15%下落し最安値を付けた。エルドアン大統領が最近の大幅な利下げを擁護し、「経済独立戦争」で成功する決意を示したことが材料で、1日の下落としては過去2番目の大きさとなる。
トルコリラが対ドルや対ユーロで連日最安値を更新しているとのこと。昨日11月24日には1日で15%も下落しました。
トルコ中銀は今月18日、主要政策金利の1週間物レポレートを16.00%から15.00%に1.00%ポイント引き下げた。インフレ率が20%近くに達しているにもかかわらず、中銀は一段の緩和を示唆した。
トルコリラが連日下落しているにも関わらず、トルコの短期金利が年16.0%から年15.0%に引下げられました。
大統領が利下げを容認したことがトルコリラ下落に影響しているようです。
トルコリラなど高金利通貨は理論上はインフレの影響で下落することに注意
トルコリラは対ドルや対ユーロだけでなく、対円でも最安値を更新しています。
以下がトルコリラ/円の過去10年のチャートです。

引用元:: トルコリラ/円 | SBI証券
2013年頃はトルコ/円は約50円だったのが、現在は約9円まで下落しています。
トルコリラの金利は利下げされても15%と日本にいると考えられないほどの高金利です。
ただ、国としては経常赤字が続き、インフレ率が約20%もあるので、実際は金利15%のトルコリラを保有しても金利以上にインフレ率が高く、肝心のトルコリラ自体の通貨価値も右肩下がりに落ち続けています。
表面上の高金利につられてFXでのトルコリラ/円をロングしてスワップポイントを狙いにいったり、トルコリラ建ての債券を購入していてもリターンがマイナスになってしまうことが多いのはこのためです。
日経記事紹介
昨年4月の記事ですが、以下がわかりやすいです。
新興国通貨が急落 「高金利はお得」のワナ | 日本経済新聞
為替レートが長期的には2つの通貨のモノを買う力(購買力)を反映して動くという考え方を購買力平価っていう。グラフはトルコリラを対象に購買力平価で計算した理論価格と、実際の為替レートを示している。インフレ率の高い国は購買力平価が示す理論値が通貨安の方向に進むんだ。
為替の動きの要因はいろいろ複雑ですが、この記事では購買力平価にて説明されています。
以下が購買力平価で計算した理論価格と実際の為替レートです。

実際の為替レートは上下動を繰り返しながらも購買力平価で計算した理論価格に近付いているのがわかります。
そのため、高金利の通貨を保有すると利益が出そうですが、結局はインフレにより通貨価値が下がってしまうということを考えると、今回のトルコリラ円が9円ほどになるのも理解できます。
トルコリラに限らず、南アフリカランド、メキシコペソなどの新興国通貨の表面上の高金利につられてしまわないよう注意したいところです。
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