米国の景気後退に対しては「優れた銘柄選別能力のあるファンドを選んで投資する」?
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「米国経済にリセッション(景気後退)懸念、米国株式中心の運用ポートフォリオをどうする?」というモーニングスターの記事がありました。
その案としてなぜか、「優れた銘柄選別能力のあるファンドを選んで投資する」となっていましたので記事にします。
米国の景気後退懸念に対する対応策は「優れた銘柄選別能力のあるファンドを選んで投資する」?
米国経済にリセッション(景気後退)懸念、米国株式中心の運用ポートフォリオをどうする? | モーニングスター
そして、ウクライナ情勢や中国のゼロ・コロナ政策がもたらしている世界的なサプライチェーンの断裂という異常事態によって、米国の景気が腰折れするのではないかという懸念がある。米国株式の上昇に期待した運用ポートフォリオに見直しの必要はあるのだろうか?
S&P500インデックスファンド等の米国株式比率100%の場合はもちろん、先進国株式 (MSCIコクサイ・インデックス)や全世界株式指数(MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス)に占める米国株式比率はそれぞれ73.47%と61.35%(2022年3月31日時点)を占めます。
世界各国の時価総額比率に基づく国際分散投資でも60%~75%は米国が占めることになり、私も含めて否応なしに米国株式中心のポートフォリオとなっている場合が多いと思います。
過去3年間にわたって、米国株式の上昇をエンジンに、先進国株式(代表的なインデックス「MSCIコクサイ・インデックス・円ベース・為替ヘッジなし」の暦年リターンは、2019年に28.35%、20年が8.61%、21年が37.97%)を中心に株式インデックスファンドのパフォーマンスが優れたものだった。コロナショック(2020年3月)のごく短期間を除いて、米国が好景気を持続していたために、安心して先進国株式に投資することができたといえよう。
MSCIコクサイ・インデックスのリターンは、(株式インデックスの期待リターンがせいぜい年5%程度の中)2019年に+28.35%、2020年に+8.61%、2021年に+37.97%と出来すぎのリターンです。
ここのところの円安もあって、世界各国の株式に投資している方々はリスクを取った結果が報われた形となっています。
ただ、結果的には過去3年間とも高いリターンとなっていますが、2020年4月ごろのコロナショックでは2008年のリーマンショックを上回る急角度で世界中の株式指数が下落しました。
それ以外も様々な不安を抱えながら投資していたわけで、この過去3年間でも記事に書かれているように「安心して先進国株式に投資することができた」とはとても言えません。
その屋台骨ともいえる米国の経済が低迷し、かつ、後退するようなことになれば、2019年~21年のような世界的な株高という状況は期待しにくくなる。世界の消費の中心であるアメリカの購買力が低下する影響は大きい。先進国の株価がマイナス成長になることも覚悟する必要がある。その場合は、よほど優れた銘柄選別能力のあるファンドを選んで投資するなど、慎重に投資先を選ぶ必要が出てくる。
米国の経済の低迷や、景気後退(リセッション)があれば、当然この過去3年間のようなリターンは出せない可能性は高いです。
その場合の運用の見直しとして、「よほど優れた銘柄選別能力のあるファンドを選んで投資するなど、慎重に投資先を選ぶ必要が出てくる。」と突然、個別銘柄選別の話になる展開がさっぱりわかりません。
例えば、S&P500のみに投資していたのを、他国にも投資するようeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)などに購入ファンドを変更するような見直しは当然あり得ると思います。
既に先進国株式や全世界株式に分散投資している場合、米国の景気後退に限らずいろいろな株価下落の懸念があっても、今までと変わらず目標のポートフォリオに向けて粛々と投資を続けていくだけで良いと思います。
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