2007年から始めたインデックス投資の記録です。投資信託やETFを使って低コストで日本、先進国、新興国株式への国際分散投資を行っています。2019年にアーリーリタイア(FIRE)しました。現在はeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)をメインに積立中です。

カルパースの新資産配分 5%のレバレッジをかけ、私募債にも新規に投資へ

CATEGORYカルパース
円グラフや棒グラフと白いキーボード

全米最大の年金基金であるカルパース(CalPERS:カリフォルニア州職員退職年金基金)の目標ポートフォリオ(資産配分比率)が2021年11月に見直されました。詳細を確認します。



カルパースの目標ポートフォリオ(2021年11月見直し)

 CalPERS Board Selects New Asset Allocation for Investment Portfolio, Keeps Discount Rate at 6.8% | CalPERS (英文)

カルパースの目標ポートフォリオ New Asset Mix

The portfolio includes a 5% allocation to leverage. The new asset allocation takes effect July 1, 2022

..

この新しいポートフォリオは5%のレバレッジをかけており、2022年7月1日より適用されます。



カルパースの目標ポートフォリオの推移

カルパースの目標ポートフォリオの推移を私がまとめた表が以下になります。
黄色にしている個所が2021年11月に見直されたポートフォリオです。レバレッジが5%のため配分比率合計は105%となっています。

 資産 目標ポートフォリオ(配分決定時期)
 2014年3月 2017年12月 2021年11月
 世界株式(Global Equity) 51% 50% 42%
 世界債券(Fixed Income) 20% 28% 30%
 不動産等実物資産(Real Assets) 10% 13% 15%
 未公開企業投資(Private Equity) 10% 8% 13%
 私募債(Private Debt) - - 5%
 米国短期国債等(Liquidity) 1% 1% 0%
 インフレ連動債券、コモディティ(Inflation) 6% -
 インフラ(Infrastructure)1% -
 森林(Forestland)1% -
 合計 100% 100% 105%




目標ポートフォリオの従来との変更点

 [FT]「上場株市場は過熱気味」 米カルパースCEO | 日本経済新聞

カルパースは直近のポートフォリオ調整に際し、負債比率を運用資産額の5%に設定した。レバレッジ効果を得られるようにもした。この決定は、税金をギャンブルに使うつもりだと批判されている。



 投資スタッフの採用という喫緊の課題に直面するカルパース新CIO | Pension&Investments

11月に採択されたこの資産配分は、600億ドル近い資産をオルタナティブ投資に配分するもので、内容としては新たにプライベート・デットへ5%配分するほか、プライベートエクイティへの配分を5%増やし13%へ、また実物資産への配分を2%増やし15%とするものだ。




長期目標の期待リターン年6.8%に向けて以下のように目標ポートフォリオを変更。

  • 負債比率を運用資産額の5%とし、5%のレバレッジをかける。

  • 世界株式: 「上場株市場がやや過熱気味に見える」ため、50%から42%に引下げ。

  • 世界債券: 28%から30%に引上げ。

  • 不動産等実物資産: 13%から15%に引上げ。

  • 未公開企業投資(Private Equity): 8%から15%に引上げ。

  • 私募債: 私募債に初めて5%投資する。


なお、ヘッジファンドに2014年3月以前は投資していましたが、コストが高いという理由で現在は投資対象にしていません。

5%の負債を入れて計105%の配分比率としています。
その中で、従来の古典的な投資対象となる世界の株式や債券には合わせて72%の配分比率に減らし、逆に実物不動産や未公開企業投資への比率を上げ、さらに初めて私募債に5%投資するとのこと。

一部のアナリストは、いざという時に売り抜けるのが難しい資産(PE)のリスクを指摘する。これに対してフロスト氏は「流動性を心配してはいない」と答えた。「相場の暴落や、そこまでいかなくても深刻な下落局面に遭遇しても、私たちには年金を給付できる能力が十分にある」と指摘する。



非上場の株式や私募債など流動性の低い資産比率を増やし、期待リターンを上げようとしています。
その姿勢がリーマンショックでの金融市場の混乱覚えているものとしては何か嫌な気がしますが、カルパースのマーシー・フロストCEOは流動性を心配してはいないようです。

我々個人投資家としては、カルパースのように5000億ドル(約57兆2000億円)を運用しておらず、毎年給付を行う必要もないため、この中では世界株式と世界債券くらいしか真似はできませんしそれで十分と思います。
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