GPIFのポートフォリオに学ぶ個人投資家の長期国際分散投資の良記事

公的年金の運用を担っているGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の運用を例に、個人の長期国際分散投資の参考になる良記事がありましたので紹介します。
どの単一国への投資が儲かるかとか、どのレバレッジファンドに投資するかを検討する前に、たいていの場合は個々のリスク許容度の範囲内で幅広く分散された適切なポートフォリオを組んだ運用を検討すべきと思っています。
— ケンズ (kenz 投資ブロガー ) (@kenz08) August 21, 2022
運用の目的に応じた適切な資産配分を、公的年金を運用するGPIFの運用ポートフォリオに学ぶ | モーニングスター
GPIFの運用は、「儲けるための運用(収益の最大化をめざす運用)」ではない。厚生労働大臣が示す年金積立金の中期的な運用目標を「最低限のリスクで確保する」ことをめざしている。現在のポートフォリオは、2020年4月1日から5カ年の中期目標期間に定められた実質的な運用利回り(運用利回りから名目賃金上昇率を差し引いたもの)の年率1.7%を目指している。基本的な資産構成割合は、「国内債券」25%、「外国債券」25%、「国内株式」25%、「外国株式」25%という均等配分だ。
以下のようにGPIFの基本ポートフォリオは国内債券、外国債券、国内株式、外国株式の伝統4資産に25%の均等配分となっています。
資産クラス | 基本配分比率 (()内は乖離許容幅) | ベンチマーク | ||
---|---|---|---|---|
旧配分 | 新配分(2020年4月1日以降) | |||
国内債券 | 35%(±10%) | 25%(±7%) | (±11%) | NOMURA-BPI(除くABS) |
外国債券 | 15%(±4%) | 25%(±6%) | FTSE世界国債インデックス(除く日本と中国) | |
国内株式 | 25%(±9%) | 25%(±8%) | (±11%) | TOPIX(配当)込み |
外国株式 | 25%(±8%) | 25%(±7%) | MSCI ACWI(除く日本)(配当込み) |
実際に、「国内債券」の収益率は2019年度以来3年度連続でマイナス収益が続いている。四半期ベースでみても、2012年9月から2020年6月までの10年間、40四半期において、「国内債券」は19回で期間リターンがマイナスになっている。
国内債券はここ数年の金利上昇により、3年連続でマイナスリターンとなっています。
ただ、他の資産との相関関係が圧倒的に低いため、ポートフォリオに組み入れることでリスクを抑える働きが大きく、GPIFは国内債券を投資対象としています。
GPIFがめざす「リスクを最小限に抑える」という運用であれば、「国内債券」をゼロにするような選択は難しいと考えられる。しかし、「場合によっては、損失を抱えても良い」と割り切って運用するのであれば、「国内債券」を外して、「外国債券」と国内外の株式のみで運用するという方法もある。
個人投資家の場合、国内債券をポートフォリオに入れないことでリスクを大きくなっても良いと考えて、外国債券、国内株式、外国株式の3資産でする方法が紹介されています。
なお、個人の場合は私を含め、外国債券には投資しない方も多いと思います。
GPIFの運用報告をみると、「国内株式」や「外国株式」は、3カ月間で20%下落することがある。反対に20%程度上昇することもある。「外国債券」は、13%上昇することもあれば、8%以上下落することもある。それぞれの値動きの傾向を見極めた上で、納得のできる運用ポートフォリオを組みたい。大切なことは、自身の耐え得る「リスク許容度」にふさわしいポートフォリオを作って、長期に継続して投資を続けることだ。
まさに以下が重要と思います。
「大切なことは、自身の耐え得る「リスク許容度」にふさわしいポートフォリオを作って、長期に継続して投資を続けることだ」
自分のリスク許容度は、投資を始める時はわからないので、最初は低めに見積もっておき、次第にリスクを上げていって判断することになると思います。
どこの国やセクターへの投資が一番儲かるとか、どのレバレッジファンドに投資するかを考えるよりも、個人ごとのリスク許容度の範囲内で幅広く分散された適切なポートフォリオを組んだ運用を検討すべきと思っています。
- 関連記事
-
-
GPIFのポートフォリオに学ぶ個人投資家の長期国際分散投資の良記事 2022/08/27
-
GPIFは中国国債を投資対象にせず、外債のベンチマークも中国を除く指数を使用すると発表 2021/09/30
-
MSCI新興国株式指数での中国恒大集団の組入比率を調べてみました 2021/09/22
-
GPIFの基本ポートフォリオ変更が正式に発表されました 2020/04/05
-
GPIFの基本ポートフォリオ 外国債券比率を15%から25%に引上げへ 2020/03/28
-
GPIFが基本ポートフォリオを見直しへ 2019/11/04
-
GPIFの資産配分比率の確認(2019年6月末) 2019/10/21
-
GPIFが国内株式運用のベンチマークにスマートベータ指数採用 2014/04/08
-
GPIFが先進国株式の投資配分の一部を新興国株式に充てる方針へ 2010/10/11
-
GPIFが利回り向上に向け、新たに新興国株式への投資検討へ 2009/08/07
-