GPIFが先進国株式の投資配分の一部を新興国株式に充てる方針へ

GPIFが利回り向上に向け、新たに新興国株式への投資検討へにてお伝えした記事の続報です。
日本の公的年金の積立金を運用するGPIFが、先進国株式への投資配分の一部を新興国株式に充てる方針を固めたと報じられています。
<最終更新日:2022年5月14日>
公的年金、新興国株にも投資 給付拡大に備え | 日本経済新聞
公的年金の積立金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、中国、インドなど新興国市場に上場する企業の株式に投資対象を拡大する方針を固めた。2011年夏をめどに、現在は先進国企業に原則限定している外国株投資枠の資金を配分し、実際に投資を始める。年金給付額の拡大に対応するために、新興国投資のノウハウ蓄積を進める狙い。
今回の見直しでは、基本的な資産構成の大枠(国内債券67%、国内株式11%、外国債券8%、外国株式9%、短期資産5%)は変えずに、新興国の成長を取り込む運用へ一歩踏み出す格好だ。
現在のGPIFの基本配分比率は以下の通りです。
国内債券67%、国内株式11%、外国債券8%、外国株式9%、短期資産5%の基本配分は変えずに、今後、この9%の外国株式の一部を新興国株式に割り当てるとのことです。
新興国株式は、たしかに国際分散投資には欠かせない資産クラスです。
ただ、単純に先進国株式よりもリターンが向上するとは限りません。
過去の記事 日経記事 インデックスがだめなら個別銘柄投資へに対する意見 にも書きましたが、以下を理解しておく必要があります。
その国の期待される経済成長率が低い(高い)からといって株式投資期待リターンも低い(高い)とは限らない。
(新興国投資も、成長率が高いことが予想される分、現株価もそれを織り込んで高くなっている可能性に注意する必要があるのと同じです)
リターンを底上げするのは、どこの成長分野へ投資するかということよりも圧倒的に資産配分の影響が大きいです。
新興国株式へも投資する分散効果により、リスク-リターンのシャープレシオは上がるので無意味ではないですが、まずは上記の基本4資産の資産構成を見直した方が良さそうです。
また、各クラスへのインデックス運用が主ですが、一部アクティブ運用を行っていてその部分は見事にインデックスを下回る成績でした。GPIFは100%インデックス運用にすべきかと考えます。
個人的には、(国内債券67%を固定にしたとしても)国内株式と外国債券の配分が高すぎると感じています。
外国株式の配分を少し上げるだけでも(リスクも上がりますが)リターン底上げにつながるはずです。
厚労省が09年に示した公的年金の財政検証では、20年度以降の運用利回りを年4.1%に置いている。これによって、厚生年金の標準的な受給額は現役世代の収入の約50%になるという。
それよりも、この配分で想定運用利回り年4.1%は無理があります。
現在は超低金利により国内債券が異常に値上がりしていますが、金利上昇時に下落するのでGPIFは金利上昇リスクを多く抱えています。
この利回りを達成するという前提でも受給額は50%なので、将来の年金受給には全く期待できそうにありません。
やはり自分年金作りをこつこつインデックス投資で行っていくことが重要と考えます。
2022年5月現在、GPIFの基本配分比率は、以下のように国内債券(短期資産、為替ヘッジ付きの外国債券含む)、国内株式、外国債券、外国株式は25%ずつの均等配分となっています。
GPIFの基本ポートフォリオ変更が正式に発表されました
ここで、「外国株式」のベンチマークはMSCIコクサイ・インデックスではなく、新興国株式も含むMSCI ACWI(除く日本)(配当込み)となっています。
外国株式と言った時に、新興国株式も含むのが今では当たり前の時代となっています。
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