30代からはじめる投資信託選びでいちばん知りたいこと(朝倉智也さん著)
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「30代からはじめる投資信託選びでいちばん知りたいこと」(モーニングスターの日本代表 朝倉智也さん著)の読書感想です。
30代からはじめる投資信託選びでいちばん知りたいこと
まず特徴的な主張として、(本の帯にも記載している)以下の資産配分を推奨しています。
推奨資産配分
要点概要
生活防衛資金を確保したうえで、リスク資産の推奨配分に関し、以下の主張をされています。
- 日本の株式、債券には一切投資しない。
- 先進国と新興国の株式に6割、債券に3割 (先進国:新興国は1:1)
- 金に10%配分
日本資産クラスには、既に年金や預貯金の形で多くを投資していること、また30代の資産形成層は(約20年後の)2030年の世界GDP国別比率(予想)に合わせた配分で株式、債券を持つべきという主張です。
また、金(GOLD)は、株式や債券と異なる動きを期待しての保有であると説明されています。
所感
リスクに対する注意、投資対象クラスについて
年率7%目標とのことで、外国株式6割、外国債券3割、金1割の配分は、資産配分に為替リスクが高すぎる点が懸念です。(金もドル建てで取引されているのでドル円の為替リスクがあります)
また、リスクもかなり大きくなりますので、これから投資信託で運用しようとする方には積極的過ぎるポートフォリオの可能性があります。
リスクについて注意と具体的なデータが欲しいところです。
また、新興国債券インデックスファンド、金についても保有コストに対し期待リターンが見合うかどうかは疑問です。
私は、新興国債券クラス、金を含むコモディティクラスは投資対象としていません。
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また、新興国の経済成長率が高いからといって株式投資期待リターンも高いとは限りません。(新興国投資も、成長率が高いことが予想される分、現株価もそれを織り込んで高くなっている可能性があります)
リターンは、現株価(期待値)と経済成長率との差で決まるので、日本、先進国、新興国株式どれが長期的にリターンが得られるかはわかりません。
関連記事:
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日経記事
全体について
資産配分は大胆な提案内容ですが、各資産クラス毎の推奨ファンドは、低コストを重視したインデックスファンド、ETFを主体にするべきとの主張で、シンプルに説明されています。
モーニングスターの日本代表 朝倉智也さんだけあって、モーニングスターのツールでのファンド選びについても実例を上げてわかりやすい説明があります。
また、2030年の予想される世界のGDP比率も国別の配分紹介もあり、大変参考になります。
豊富な図表も一見の価値ありです。
また、ドルコスト平均法による投資手法の他、金投資についてもコストが高めであったり、先物のロールオーバーによる保有コストについて書かれており、論理的にきちんと説明されています。
資産配分に正解はないので、本書の記載、主張も参考に、各自で納得できる目標配分にしていけば良いと考えます。(心から目標配分に納得していないと長期投資はとても継続できません)
書店で見かけることがあればぜひ一読ください。
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[2012.12.16追記]
モーニングスター海外ETFセミナー 第1部基調講演のレポート
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