2007年から始めたインデックス投資の記録です。投資信託やETFを使って低コストで日本、先進国、新興国株式への国際分散投資を行っています。2019年にアーリーリタイア(FIRE)しました。現在はeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)をメインに積立中です。

上場MSCIコクサイ株(1680)、上場MSCIエマージング株(1681)について |  日興アセットETF勉強会

CATEGORY1680/1681
六本木の高層ビル群

昨日、六本木にて日興アセットマネジメントさんのETF勉強会に参加しました。

日興アセットマネジメント株式会社ETFセンター長の今井さんに、水瀬ケンイチさん( 梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー )、虫とり小僧さん(@mushitori)と一緒にお話しを伺いました。

まずは、上場MSCIコクサイ株(1680)、上場MSCIエマージング株(1681)について伺った7項目をまとめます。
株価指数先物運用への理解はもちろん、乖離率についての謎がようやく解けました。




上場MSCIコクサイ株(1680)、上場MSCIエマージング株(1681)

上場MSCIコクサイ株(1680)上場MSCIエマージング株(1681)は先進国株式、新興国株式市場全体にそれぞれ1本で投資できる信託報酬0.24%(税抜)の低コストETFです。

世界株価指数先物ETF(1680,1681) でお伝えしたように各国の株価指数先物を利用しています。




上場MSCIコクサイ株(1680)、上場MSCIエマージング株(1681)を先物を利用することにした背景


1. 仕組み債での組成は、信用リスクが問題

仕組み債でETFを組成すると、指数連動しやすい代わりに、仕組み債発行元の信用リスクがある。
ちょうどリーマンショック時に遭遇し、流動性リスクを再確認し、仕組み債での組成は断念。



2. 現物株式での組成は、租税問題が懸念

米国の租税問題が障壁。
米国と日本間は租税条約があり、米国株の配当に対し、日本は10%の税金ですむが、租税条約のないシンガポールでは30%かかる。東証に上場しているETFは誰でも購入できるため、あとで差額の20%を誰か負担するか問題になる可能性がある。
そのため、現物株運用はスキーム複雑になることから断念。

MAXIS海外株式上場投信(1550) は、現物株運用で、ファンドと共通のファミリーファンド方式。
条約としては、危険なスキーム。



3. 先物運用のメリット

株価指数先物で運用すると、租税条約の対象外となりスキームが複雑化する懸念がなくなる。
また、現物株運用の場合、(特に新興国では)保管費用がかかるが、先物は保管費用は不要のためコストを抑えることができる。

また、先物は証拠金だけ差し入れておくことで、残りは手元で安全に運用でき、財産保全も容易。
残りの現金は短期債券などにて金利収入を得ることができる。



4. 先物運用のデメリット

先物は、どうしてもロールオーバーコストが発生する。たいていの場合、期限が先の先物の方が価格が高いため、3ヶ月に一度の乗り換えコストがかかるのがデメリット。




ETFの基準価額と市場価格との乖離について

市場参加者を増やし、マーケットメイカーの会社を海外含めて増やすことや、ETFの中身を開示することにより、価格を明確にし、裁定取引が働きやすくする努力を行っている。


5. 上場MSCIコクサイ株(1680)、上場MSCIエマージング株(1681)が一時、乖離が大きかったのは、先物運用なので裁定取引しにくいからと主張するFPもいるが本当か?

先物だから現物より裁定取引しにくいということはない。先物、現物で裁定取引のしやすさに差はない。
先物でも保有銘柄は明確なため。



6. 上場MSCIコクサイ株(1680)、上場MSCIエマージング株(1681)の乖離は、プラスやマイナスに触れるのが自然。ほとんどの場合でプラス乖離し、プレミアムがついているのはなぜか?

バイアンドホールド目的で購入するのみの投資家が多く、裁定取引を行うマーケットメーカーの売り崩しが間に合っていない。
マーケットメーカー側は、事前に上場MSCIコクサイ株(1680)、上場MSCIエマージング株(1681)を保有した範囲内で、売りを行うが、手元株を全て使い切ってしまうことができない(手元株がなくなると、新たに設定するのに2日かかるため)



7. 乖離率が10%以上など非常に大きいETFは、マーケットメーカーには裁定のチャンスだと思うが、そのまま乖離が大きい状態が継続するのはなぜか?

国によって、海外参加者からの購入、売却に規制があり、簡単に取引できないため。
特に、中国とインドは規制が厳しい。

そのため、上場インデックスファンド中国A株(パンダ)CSI300(1322) は乖離率が大きくなりがちとなる。

また、ブラジルは株式や債券の取引税がコスト大、ロシアは株券自体が途中で紛失する危険(!)があると言った新興国特有の問題も乖離率が広がる要因となる。


<追記>
水瀬ケンイチさんが、私が聞き洩らしている内容も書かれているので、合わせてどうぞ。
 日興アセット・東証とのETF勉強会に参加。国内ETFの「市場価格と基準価額の乖離」主因が判明! | 梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー(インデックス投資実践記)




まとめ

上場MSCIコクサイ株(1680)、上場MSCIエマージング株(1681)についての理解が深めることができ、大変勉強になりました。

租税問題回避のための株価指数先物運用という手法をとっていますが、今後成立予定の条約では、「上場している株式の税金は条約の対象外」との条項があるとのことで、条約成立後は、現物株運用も検討するとのことでした。

また、特に上記6.のプラス乖離する疑問が解けました。
予想はしていましたが、やはりプラス側に乖離するのは、我々投資家側のせいでした。


このあとの 上場インデックスファンド海外債券(Citigroup WGBI)毎月分配型(1677)を例としたETFの分配のお話し、日興アセットマネジメントさんや東京証券取引所さんへの要望については、別記事にてまとめます。

 [2012.06.03追記] 続編を記事にしました。
 ETFのタコ足分配はありなのか、分配金自動再投資の仕組みは? | 日興アセットのETF勉強会

 [2012.10.23追記]
 上場外債ETF(1677)の毎月分配金が一定額である理由

 [2013.03.23追記] 再度、ETF勉強会に参加しました。
 上場日経225(ミニ)を現金設定型にした理由 日興アセット勉強会

 [2013.04.23追記]
 上場MSCIコクサイ株が分配金を出した訳 日興アセット勉強会

 [2014.02.13追記]
 日本債券ETFが上場していない理由を日興アセット今井さんにお聞きしました
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COMMENTS

4Comments

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タカちゃん

No title

僕も出たかったなあ・・・ブログを持っていないので仕方がないですが、こんな勉強会は是非出てみたいです。

kenz

>タカちゃんさん
次回もETF勉強会開催するそうなので、ご一緒しましょう。

774

untitled

1680、1681ともに(特に1680は)、
スカスカなので注文を出しにくいなぁ。

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参考
'12.06.01売買金額
1680: 11,678 k\
1681: 42,063 k\
1306: 1,488,197 k\

kenz

>774さん
板が薄いですよね。
1306と比較はさすがにつらいですがもう少し売買が活発になるとうれしいのですが。