2007年から始めたインデックス投資の記録です。投資信託やETFを使って低コストで日本、先進国、新興国株式への国際分散投資を行っています。2019年にアーリーリタイア(FIRE)しました。現在はeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)をメインに積立中です。

不動産投資のリスクは全て事前に対処できるという甘い考え (大震災9カ月前に書かれた本の感想)

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不動産投資

「不動産投資×証券投資 最強のハイブリッド投資術」(石川 貴康, 内藤 忍 著)を読みました。

元マネックス・ユニバーシティの内藤氏が共著だけあって、インデックス投資を基本としたペーパーアセットへの投資と、リアルアセットである実物不動産のハイブリッド投資を行い、よりスマートな投資家になりましょうという趣旨の本です。

ただ、いくつか疑問に思う点があったので以下にまとめます。


<最終更新日: 2023年9月2日 リンク等修正、記載追記>



1.証券投資も不動産投資もとにかく分散と書いておきながら、後半では不動産は地域集中投資

内藤氏は、インデックスファンドを使った分散および、不動産も物件分散が重要と勧めています。
一方、石川氏は、土地勘の有無や信頼できる不動産屋と連絡できないことから、近くで物件を取得するよう勧めています。
これは、地震などの災害リスクに非常に弱くなるためこの意見には疑問です。




2.REITと実物不動産の比較では、やはりREITのメリットが多い

ペーパーアセットであるREITと、現物不動産投資を、投資金額、レバレッジ、物件の分散、流動性などの観点から比較しているのは、わかりやすく知識が整理できました。

しかし、比較すればするほどREITの利点(小額投資可能、物件の分散可能、流動性大)ばかりが目立ちます。

たしかに、デメリットとして不動産会社が母体となっている運用会社がREITの資産運用を担当するため、本体の不動産事業とREIT事業が競合することにより、REITに投資している投資家に不利益がもたらされる懸念があります。

それ以外は、ほぼ実物不動産投資よりREITが圧勝です。
詳しく説明されるほど、実物不動産投資の魅力がなくなります。




3.不動産投資をREITではなく実物不動産で行う理由に疑問

実物不動産を行う理由として、株式や債券市場は効率的だが、不動産市場はまだまだ非効率性のある市場なので「アルファを狙う投資」が可能というのが理由に挙げられています。

「皆が手を出さないことは割安になっている」、「流動性が悪いなどのリスクに見合ったプレミアムが狙える」とのことですが本当でしょうか?

そんなにおいしい市場なら、より資金のあるファンドや企業がいち早くおいしい物件を取得するのではないでしょうか?
自分ならば他の人と違って当たりの物件を見つけることができると思っているのであれば、ただのオーバーコンフィデンスです。




4.不動産事業のリスクが限定的というのはダウト

不動産のリスクは、事前に「読めて」、しかも「対処できる」ものばかりなのです。


本当でしょうか?
並べられているリスクの種類に大規模災害リスクが出てきません。

地震などの災害リスクはどう「対処する」のだろうと思って読み進めていくと、驚くべきことが書かれていました。

巨大地震や原発事故など、どうしようもない事態が起きたら、おそらくダメでしょう。

巨大地震で東京が壊滅したら、そのときは日本が終わっているから仕方ないとも思っています。
茨木にアパート・マンションが4棟ありますが、こちらも巨大地震や原発の大事故があればアウトでしょう。


って2011年3月の東日本大震災と東京電力福島第一原発の事故でまさに懸念が現実となっています。

この本の発行は、2010年6月となんとも間の悪いことに大震災の9ヶ月前でした。




石川氏のブログは東日本大震災の4ヶ月後の2011年7月を最後に更新されず

石川氏は不動産投資のレバレッジを10倍(500万円たまったら5000万円の物件を取得する)にしていると書かれていたので心配になり、石川氏のブログを探してみました。

この間のこと、そして、原発は不動産価値を毀損するということ | 石川貴康(たかやす)のスマート不動産投資倶楽部

原発事故で放射能が降り注ぎ、日本の国土が汚染されました。

不動産投資化としては、許しがたい事故です。

投資家のみなさん、見てください、事故で住めなくなる土地、
事故で汚染された土地とは、資産ですか?
事故で、資産を奪われ、無価値にされ、毀損される状況、
投資家として、やはり許しがたい。



やはり大地震と原発事故で所有不動産にダメージを受け、自分が良くわかっている地域集中投資を捨て、北海道や沖縄での不動産投資を検討されているようです。
が、2011年7月のこのブログ記事を最後にブログ更新が止まっています。

巨大地震などの大規模災害リスクの言及もないのが一番甘く考えていたところだと思います。

やはり実物不動産投資は、分散も難しく、投資ではなく事業と考えるべきです。
現金ではなく、レバレッジという言い方をしていてもただの借金で投資する場合は、なおさらです。

私の周りでも、株式投資は怖いという割に、不動産投資については前向きで不労所得の代名詞のように話す方が多いです。
実物不動産投資は、上記のリスクを考慮の上、相当な覚悟で行う必要があるでしょう。


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COMMENTS

4Comments

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吊られた男

No title

「おわりに」で触れられている原発の話は面白いですね。

【不動産のリスクは、事前に「読めて」、しかも「対処できる」ものばかりなのです】とドヤ顔するなら、原発リスクを事前に読んでおけよという呆れた話です。
加えて、それを読めなかった自分の無能さを恥じるどころか「許しがたい」とかキレるのはいかがなモノかと…で自然エネルギーとはまた短絡的で…

成功は自分の手柄、失敗は他人のせい。

kenz

>吊られた男さん
おっしゃる通り、リスクに対する認識が甘いです。
不動産投資と聞いて最初に考えるのが天災リスクなのに、金利上昇リスクとか空き室リスクは心配ないので不動産のリスクは読めるなどと言われても困ってしまいます。

ペーパーアセットでもリアルアセットでも重要なことは分散だと思います。

タカちゃん

読みごたえありました

実は不動産のリスクについては以前から地震リスクを心配していました。
しかしながら、「うちは保険に入っている」「地震が起きても元本は守られます(byラブホテルファンドHOPEα)」などなど・・・
個人的には世界に分散できるREITの方が震災リスクの分散に有効だと考えています。

折角の機会なので書いておきたいのですが、不動産に限らず、「日本企業レベル」では地震リスク、火山現象リスク、気象災害リスクをヘッジするのは難しいと考えています。
例えば三洋半導体のようにタイの洪水で被災して撤退を余儀なくされたり、東電の原発事故も元々は津波による物なのですが、これらは「事前に「読めて」、しかも「対処できる」ものばかりなのです」と言い切る事ができるのか?と考えると難しいです。
やはり、保険会社や気象情報会社にお金を払ってお願いすべきではないか?と僕は考えます、それでも対処ができないリスクと分かり次第、「東電クラスでは」国に言えと言いたいです。

kenz

>タカちゃんさん
災害リスクは個人ではもちろん企業でも難しいですね。
不動産ならなおさら難しいです。

不動産投資の本は、一般に災害リスクを軽視する傾向にあり、ひどい時には本の中に全く地震についての記載すらなかったりします。
この本は、言及されているだけまだましと言えます。